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ブレグジット後の特許、商標と意匠

詳しいガイドライン(ディールとノ―ディールの場合) 20199月現在

この記事ではブレグジットの際の知的財産権問題について詳しくご説明し、定期的に更新して新しい状況をお伝えしたいと思います。

英国が欧州連合との合意下または合意無しで欧州連合を離脱すると、あなたの特許権、商標権や意匠権はどうなるでしょうか?

英国がEUから離脱する場合、あなたの特許権、商標権や意匠権にどう対処すべきかをお考えになった事がありますか?

欧州連合商標権や共同体意匠権は、2019年10月31日あるいは2020年1月31日には英国での効力はもう無くなってしまうでしょう。それに反し欧州特許権に関してはほとんど変化は無いでしょう。

特許に関しては一番簡単なので、まず特許にふれ、それから商標についてご説明したいと思います。意匠は危ういテーマなので、最後にご説明したいと思います。

まず、知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)や工業所有権の保護に関するパリ条約といった、産業財産権に関する重要な協定に関しては、英国は事実上締約国として留まるという事は明白です。英国はTRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)協定のため、特許権、商標権と意匠権を特定期間中保証する義務があります。英国は共同体意匠や欧州連合商標と言った制度に参加しているため、欧州連合離脱後もこれらの知的財産権を英国で保護する事が義務付けられています。というわけで英国は、共同体意匠または欧州連合商標等の知的財産権が欧州連合離脱後も何らかの形で効力を発揮出来るように、何等かの対策を講ずる必要があります。それでないと英国は恐らくTRIPS協定に違反することになるでしょう。

今のところ、EUと英国が合意する又は合意しない、という二通りの可能性があります。既にEU英国政府も産業財産権者に対し、この間合意出来ない(つまりハードブレグジットになる)可能性も否定はできない、と警告しています。英国政府研究所(The Institute for Government (IfG))は、どうしてそうなのか、を良く理解できるインフォグラフィックを作成しています。ここ数ヶ月波乱万丈の採決が英国議会で繰り返された後、合意の下に欧州連合を離脱する、という見込みは我々の眼にもどんどん薄くなってきました。

もしもEUとの離脱協定が成立する場合は、今のところブレグジット後最長9か月の移行期間を設けることが計画されており、英国はこの期間事実上欧州連合商標制度と共同体意匠制度の一部として留まることになります。その結果欧州連合商標も共同体意匠権も優先日を失わずに、離脱後9ヶ月以内に英国で再度英国商標権として出願できると思われます。 2018年3月19日に発表されたEUと英国間の離脱協定案の50 ff条に、知的財産権に関する基本原則が提議されています。

英国は合意なき離脱の場合の指針を2018 年8月末以来公開しています。イギリス知的財産庁(UKIPO)は2018年9月、工業所有権に関する技術面の公示(Technical Notices)を行いました。イギリス知的財産庁は、2019年4月2日変更のWebseiteに当公示を要約し、リンクを貼っています。

というわけで、私は常に2つのシーンを念頭に置きご説明いたします。

ブレグジット後の欧州特許

英国は、EU加盟国だけでなくスイス、トルコ、アイルランドやノールウェーなどの非同盟国が加盟している欧州特許協定の締約国です。英国はこの先も当協定締約国として留まるでしょう。欧州特許を出願してから英国で有効にすることはこの先も可能でしょう。

イギリス知的財産権庁はまた大変役に立つビデオを公開しています。

英国はまた2018年4月26日に欧州統一特許(裁判所)協定(UPC)を批准しています。ドイツでは違憲審査(整理番号2 BvR 739/17)が批准を紙一重で阻止しているため、まだ欧州統一特許裁判所協定を批准していません。当該違憲審査は2019年内にやっと決定される見込みです。英国は、2018年7月付英国政府白書で声明している様に、何れにしても欧州単一特許制度に留まる意向です。当該事項は特許者にとって多大な価値があるでしょう。何れにしてもどの様に実現化するのかは、今のところ不明です。

ブレグジット前に既存した補充的保護証明書(SPC)はこの先も効力を発揮するでしょう。ブレグジット後は、離脱後EUに留まる締約国用に補充的保護証明書を申請するだけで済みます(EU英国による承認)。英国も同様に、離脱後のため補充的保護証明書を設置することを計画しています。

ブレグジット後の欧州連合商標

欧州連合商標はEU内でのみ効力があるので、その結果ブレグジット後は英国では効力を失います。

但し、英国欧州連合離脱省のロビン・ウオーカー政務次官は2018年7月19日の討議で、欧州連合商標と共同体意匠は無料で自動的に英国商標権と意匠権に移行する、と語っています。その少し後ウオーカーは、協定が成立した場合に限り無料かつ自動的に移行するであろう、と限定しています。英国とEU間で協定が成立しない場合も当件が有効であるかは、当時棚上げにしています。

しかしながら今イギリス知的財産庁は、欧州連合登録商標又はEU指定の国際登録は自動的に英国商標権に無料で移行し、欧州連合商標の優先権・先行権の内容も継承される、と明示しました。

ブレグジット時点でまだ非登録の欧州連合商標出願またはEU指定の国際登録出願に関しては、欧州連合商標権の優先日(出願日)の主張を伴い、9ヶ月の移行期間の間に英国商標を出願することは可能でしょう。

自動的に発生する英国商標権は冒頭に „UK009“ が付き、欧州連合商標番号下8桁が続く登録番号が付くでしょう。

イギリス知的財産庁(UKIPO)は欧州連合商標権について大変役立つビデオを公開しています。

欧州連合商標権者がブレグジット後英国で商標権を失う、という事はまず無いと考えられます。

欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、ハードブレグジットの場合英国弁理士は即時すべての知的財産権と手続きに於ける代理権を失う、と明示しています。私達の考えでは、EUとの協定無しに離脱するハードブレグジットは全く無い、とは言い切れませんので、EU知的財産権に関して英国弁理士が代理している場合には、早めにEU内の弁理士を雇い、知的財産権業務にあたらせるべきです。EUIPOは通常、弁理士が失格したことを商標権者に通知しません。

その為お勧めすることは、ブレグジットがどうなるか、ひとまず見極めることです。ブレグジット後欧州連合登録商標権は自動的に英国商標権となるでしょう。係属中の商標出願に関しては、原出願優先日の主張を伴い、9ヶ月の間に英国商標を出願できます。今まで英国の弁理士に代理させていた方は、今新しい弁理士をEU内で選び、EU知的財産権業務にあたらせるべきです。私達は、喜んで皆様のお役に立ちたいと思っております。

その他、注意すべき点が2~3あります。

ブレグジット後英国で欧州連合商標を使用しても、欧州連合商標権を存続する使用とはみなされません。

アイルランドとマルタの公用語は英語であるため、英語はこの先もEUIPOの公用語の一つですので、手続は英語でも出来ます。

英国の国内商標権を先行出願日とする先行権は、優先権とは違い、ブレグジット後は主張できません。

ブレグジット後のデザイン・意匠権

デザインまたは意匠権の問題は、出願時新規性が問われる事です。共同体意匠権者の意匠権がブレグジット後英国で保護されないという状態は、我々の考えではあり得ないと思われますが、それでもそのような状態となる場合は、商標権の場合とは異なり、簡単に英国で再度意匠出願するという可能性は無いでしょう。

イギリス知的財産庁は今、意匠権に関しても原則的に商標権と同じ様に解決する、と確約しています。

EUで効力の有る登録意匠権(つまり共同体意匠制度またはEU指定のハーグ意匠制度)は無料で自動的に英国意匠権に移行するでしょう。

非登録の欧州連合出願意匠権は、先行出願日の主張を伴う英国意匠権としてブレグジット後9か月以内に申請できます。

イギリス知的財産庁は意匠権に関してもビデオを公開しています。

同様に非登録の共同体意匠権も、英国の非登録意匠権に変更できるべきです(53条)。非登録共同体意匠権(unregistered community desgin)は自動的に所謂英国非登録継続出願意匠(UK Continuing Unregistered Design (CUD))となるでしょう。ブレグジット後発生する非登録意匠権には、英国非登録意匠権の国内保護権が発生するでしょう。

イギリス知的財産庁は本件についてもビデオを公開しています。

このため私は意匠権に関しても、意匠権を失うという事はほとんどあり得ないと考えています。

英国はハーグ意匠協定締約国です。.その為例えばEU、スイス、英国または他の国々で意匠権を保護しようとする場合は、所謂ハーグ意匠権を出願すると最も有利です。

私達は、英国に於ける意匠権保護についても、是非皆様のお役に立ちたいと考えております。

裁判権

EU圏の裁判所決定はブレグジット以降、英国ではもう法的強制力が無くなります。

ブレグジット以降英国裁判所も、欧州連合商標を基礎とする、または欧州連合商標の効力、または欧州連合商標権の法的拘束力に関する決定はできなくなります。

原告も被告もこの事項を考慮すべきです。またライセンス契約を作成する場合もこの点に注意すべきです。

要約および推奨される行為

ブレグジットは、特許に関しては実際のところ悪影響は無いと思われます。英国が欧州単一特許制度に留まるかは、まだ定かではありません。

欧州連合商標権と共同体意匠権に関してはハードブレグジットの場合でも、EU登録知的財産権は自動的に当該英国知的財産権に無料で移行するのは確実だ、と思われます。当該知的財産権の出願は、原知的財産権優先日の主張を伴い、9か月以内に英国商標権または意匠権として出願できます。

いずれにしても、これまで英国弁理士が代理していた場合には、欧州連合に於ける知的財産権を保護するために、EU内の弁理士を新たに雇うべきです。

ご質問がございましたら、ご遠慮なくいつでもご相談ください。

御成功を祈っております。

ラルフ クレッセン

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